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    スバルの「無資格検査」問題、そもそも海外向けはリコール対象外。日本の「完成検査」ってナニ?

カレコ・カーシェアリングクラブ

スバルの「無資格検査」問題で、日本のモノ作りの品質が問われている。

一方で、同じ製品でも海外向けはリコール対象外とされている。

同じクルマなのに、リコール対象とそうで無いものがある?

同じ製品でも海外と日本でリコール有無が異なる、「ダブルスタンダード」

そもそもスバルは国内向け・海外向けを1つのラインで混流生産しており、今回の問題が影響するのは国内生産分のみとなる。

輸出生産分に関しては、日本と同等の検査をした上で、各国の法令に準拠した検査をしているが、

例えば北米には完成検査員という制度がなく輸出分は問題にならない。(そもそも北米のイリノイ工場には完成検査員がいない)。

しかし、国内分については、ルール違反はルール違反。

(引用(画像・文面):https://car.watch.impress.co.jp/)

しかし海外向けの製品は「リコール対象外」、日本向けは「リコール対象」というダブルスタンダードは、かなり違和感を感じる

そもそも「完成検査」や「完成検査員」とは、なんなのであろうか。

「完成検査員」とは、国家資格でもなんでもない

「完成検査員」とは国家資格でもなんでもなく、社内研修を受け、実務経験を積み、自社試験に合格し、各メーカーで認定した人員である。

(「完成検査員」は、みなし公務員とされる「自動車検査員」とは異なる。)

各メーカーが「こうやって完成検査します」と国土交通省に申請して、その通りやっていることを「完成検査」と呼んでいるだけだ。

事実、記者からの質問には、「要は、完成検査員と認めてしまえば良かった問題では?」という質問も挙がっている。

完成検査員になるためには、実務経験を積まないと成れないという矛盾

国土交通省に申請している「完成検査要領」では、「完成検査は完成検査員が実施する」と申請しているが、

スバルの社内規定では、完成検査員になるために実務経験を一定以上経験することを義務付けていたという点。

必然的に矛盾が生じ、「国土交通省に申請していた完成検査要領を守っていなかった」ということになり、今回のルール違反に至っている。

「完成検査員が、完成検査員を育てる」

スバルの記者会見の一問一答を見ていけば、スバルがいかに完成検査員の育成に力を入れていたかが分かる

完成検査員を目指す研修生が、実務を通じて完成検査を学ぶ。

大いに結構ではないか。

「試験に受かったので、今日から完成検査員です」なんて制度より、よっぽどモノ作り企業として信頼できる。

もし仮に私がスバルの従業員で、何の実務経験も無しに「あなたは今日から完成検査員をやれ」、と言うような企業だったら、即刻自主退職しているだろう。

実務を通じて完成検査とはなんぞやを学ばない限り、日本の今日の信頼性の高いモノ作りの土壌にはなり得ない。

マスコミに「日本の品質」という名で人質にされ、結局「正直者がバカを見る」

今回のルール違反ははっきり言って、スバルが内規で定めたプロセスの、単純な不備だ。

しかし、国土交通省に申請した「完成検査要領」から外れていた。だから新車から3年以内のクルマは全部リコール。

なんともお役所仕事だ。

マスコミに「日本の品質」を人質にされ、結局「正直者がバカを見る」とは正にこのことだ。

日産・スバル以外で、他メーカーでは創業からの歴史上、「本当に」一度も無いのか?

今のところ、今回発端となった日産と、スバル以外は国土交通省に「該当事例無し」と報告した。

ただこの事例が、各社の創業からの歴史上「一度も無い」というほうが、はっきり言って信用ならない。

トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ダイハツ、三菱には、本当に事例が無かったのか。

怪しさ満点である。

そもそも「車検制度」が必要なのか。250cc以下のバイクに車検が無いが、それは問題にならないのか?

そもそも「車検制度」が必要なのか。

では車検が不要な250cc以下の、全国100万台にあるとされる自動2輪のバイクは、今日にでも爆発するのだろうか?暴走するのだろうか?ただちに全台リコールする必要があるのか?

冷静に考えれば、「車検制度」がいかに形式的な儀式となっているのか、おのずと見えてくる。

「リコール」という言葉のインパクトだけが、独り歩きする

そもそもリコールとは何か。

設計や製造段階を原因とする不具合が発見された場合、無料で修理をする制度のことである。

リコールはレベルにより「リコール」、「改善対策」、「サービスキャンペーン」に分類されるが、

今回の件、正しくは「再検査」だ。

具体的な不具合が見つかったわけでもなんでもない。

しかし明日10/30(月)発表予定のスバル・国土交通省からはおそらく、「新車から3年以内のクルマ、すべてリコール」が発表されるだろう。

スバルがブランドイメージを回復するためにも、おそらくこれは必要な措置だ。

スバルの記者会見で、「今のクルマは安全なのか?」という記者の問いに対し、スバルの社長は、こう答えている。

「ここで私が安全といったらおかしくなるし、安全ではないといったらもっとおかしくなる。」

会社としてこれが正しい、と思ってやってきたことが、国土交通省への申請とそぐわなかった事実はあった。

スバルが「これで良し」としてきたマニュアルや検査要領に沿って、スバルの従業員が責任を持って、検査を行ってきている。

ただし、北米向けの車両は「完成検査」制度自体が無いので、リコール対象外。

なんとも腑に落ちないリコールである。

国土交通省の調査依頼が9/29(金)深夜、10/3(火)には疑義を確認し、中1営業日で無資格検査を停止させている

記者から「日産の問題発覚後もなぜやり続けていたのか?」という問いがある。

ちょっと意地悪な質問だが、そもそも国土交通省の調査依頼が来たのが、9/29(金)深夜。

金曜の深夜に調査依頼が来て、10/3(火)には疑義を確認し、無資格検査を停止させている。

これは、トヨタの10分の1の規模、かつ3ラインしかないコンパクトな企業だからこそ成せたスピード感でもあったかもしれない。

「正しく知って頂きたい。記者の方の全ての質問に答えます」で、記者会見は2時間20分超

スバルの今回の記者会見には、スバルの誠意が込められていたと感じる。

印象的だったのが、「記者の方の全ての質問に答えます」

これは全ての膿を出す、そして隠し事はしないという志の現れではないだろうか。

実際、記者会見は記者の全ての質問が終わるまで続けられた。その時間、2時間20分超。

正しく知って頂くために、調査期間を1か月設けた

国土交通省の調査依頼が9/29(金)深夜、発表は10/27(金)。

「発表になぜ1か月もかかったのか?」という記者の質問もあった。

しかし、過去30年の不祥事を洗うには、1か月でも相当なスピードのはずだ。

かつ、前述の「記者の方の全ての質問に答えます」に、社長自らが説明するために、現状を正しく把握するには、妥当な期間だったのではないだろうか。

「安全」と「危険」の間には、大きな隔たりがある

「安全が確認されていない」と聞くと、ヒステリックのように「それは非常に危険だ」と唱える人がいる。

しかし「安全」と「危険」の間には、実は大きな隔たりがあることは、よく考えればわかることだ。

ざっくりこのぐらい、差がある。

「安全」>>>>>>>>>>>>>>>>「危険」

逆もまたしかりだ。「危険ではない」=「安全」、ということでは無いということ。

例えばタイヤの溝は、1.6mm以上なければならない、とされている。

しかし1.6mm以上の溝があっても、高速道路の水たまりでハイドロプレーニング現象に出くわし、大事故に至る可能性はゼロではない。

それを守っていたからといって「絶対安全」が保証されるわけでもなんでもないのだ。

国土交通省の役人特有の「上から目線」には、相変わらず嫌気が差す

自分たちが決めたルールがイケて無かったのに、「甚だ遺憾だ」とは、何事か。

そしてルールを決めた自分たちは、何も責任を取らない。

誰もクビにならないし、数年に1度は人事異動してしまうので、当時の担当職員が誰だったか追うことすらままならない。

「私達の策定ルール、指導に至らない点が多々ございました。担当職員を訓戒とします」

ぐらいの発言が聞いてみたいものだ。

まあ中央省庁は腐っているので、そんな可能性は1%もありませんが。

NHKも民放も、「適当な報道だらけ」

今回、全自動ディーガの全チャンネル録画機能を使用して、NHK・民放各社のスバルの不祥事に関するニュースを見た。

はっきり言って、「断片的で、かつ適当な報道だらけ」だった。

スバルの社長の、「これは本当に法令違反に該当するのだろうか…?」の、苦悩の1か月が、何も表現されていない。

「悪いことをしたのだから、糾弾されて当然」の如く、想像で「ハンコを適当にポイっと渡すCG」などが流れる。

こんなものは、「テキトー報道」に過ぎない。「真相報道」なんてものとは到底かけ離れている。

自動車雑誌の取材のほうが、よっぽど丹念だ。

「コンプライアンス」という名目が一人歩きする、魔女狩り

日本は高度経済成長期を終え、GDPでは中国に抜かれ、世界第3位。

今、経済成長期真っただ中の中国だとしたら、おそらくこんなことは問題にすらならないだろう。(お国柄も相当にあるだろうが。)

もちろん、中国では問題にならないから日本で問題にしなくていい、ということではない。

ただ、神戸製鋼の大きな品質偽装問題もあった。今、日本の品質が問われているのは確かだ。

そんな中で過去30年の「膿を出す」、強いては「完成検査員」制度そのものに疑問を投げかける重要なリコールにはなったはずだ。

トヨタ社長「制度の在り方自体を見直す必要もある」

トヨタ社長は今回の問題を受けて、「制度の在り方自体を見直す必要もある」とコメントしている。

つまり、そもそも仕組みがイケてなかったと、他社も認識しているのだ。

「完成検査員制度」、「車検制度」は、見直すべき時が来ている。

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