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    ダイムラーAGのカーシェアリング「car2go」は日本に上陸するか?日本のモビリティの未来 -deep inside Future Mobility-

カレコ・カーシェアリングクラブ

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「car2go」とは

「car2go」という、カーシェアリングサービスをご存じでしょうか。

ダイムラーAG社が、2008年から世界で順次展開しているサービスで、2016年現在でドイツ、米国、カナダ、イタリア、スペイン、オーストリア、ニュージランド、スウェーデン、中国の、9ヶ国29都市で展開しています。


(引用:car2go.com)

【公式サイト】car2go.com

car2goの特徴は、なんといっても一般的なカーシェアリングでは難しい「片道利用」、つまりは乗り捨てが可能なことです。指定エリア内であればどこでも乗り捨てられます。(※国・都市による)

利用ユーザ数、利用料金、使用車両は

car2goの登録ユーザー数は2016年時点で、全世界75万人以上。クルマの総数は13000台以上になります。

利用料金は、分単位課金がベースとなっています。1時間料金、1日料金の設定もあります。

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1分  41セント(約41円)+税
1時間 14.99ドル(約1514円)+税
1日  84.99ドル(約8586円)+税

※アメリカ/ワシントン州の場合
※円相場1ドル101.02円で換算
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使用されているのは、ダイムラーAGの「2人乗り小型車「smart fortwo(スマート・フォーツー)」がメインです。


(引用:http://www.smart-j.com)

【公式サイト】smart fortwo(スマート・フォーツー)

「car2go」は、「都市内移動」にフォーカスを当てている

car2goのサービスの顕著なところは、「都市内移動」にフォーカスを当てているところです。
2012年6月末に来日したcar2goのCOO(最高執行責任者)によれば、「日本でも、都市郊外など中距離を移動する場合には既存のカーシェアリング、都市内部を自動車で移動する場合にはcar2goというすみ分けが可能だろう」とコメントしています。

アメリカでは、道路の両脇に駐車スペースがあることが多いのが一般的。違法駐車にならない場所でさえあれば、どこにでも駐車できるそうです。
1分わずか38円!世界中で3秒に1人が乗車している、オンデマンド型カーシェアリング「car2go」(記事:2013年)

2012年に東京都内への参入意欲を示し、2016年で4年になります。ダイムラーAGの「car2go」は、日本への参入はあるのでしょうか。

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日本の「車庫法」が壁

結論からいうと、現状の「car2go」のサービスのままでは、日本では難しそうであります。壁は、日本の「車庫法」に起因します。

狭い日本では、乗用車は車庫証明を取得しなければならない。軽自動車においても、基本的に車庫証明を取得する必要があります。

それゆえ一般のカーシェアリングのクルマは、日本では乗り捨てができませんが、レンタカーのクルマが一部乗り捨てが可能なのは、それは最終的に車庫証明の保管場所に戻してくれるレンタカー会社の従業員の方のおかげでもあります。

Smart(第3世代)は、999ccの最大出力70馬力となり「普通車」にあたります。よって、日本では乗り捨てができませんが、

(2004年11月まで存在した「smart k」は598ccで軽自動車の黄色ナンバーも存在していましたが、現在は生産されておらず、また軽自動車であっても車庫証明は必要です。よって乗り捨てはできません)

日本での動きはどうか

目を見張るものが大きく2つあると思っています。
1つ目はタイムズとトヨタの連携による小型電気自動車「COMS」「i-ROAD」の展開
2つ目は国土交通省による超小型モビリティ認定制度を利用した、2名乗車できる「i-ROAD」による渋谷区/世田谷区での実証実験であります。

【公式サイト】「Times Car PLUS × Ha:mo」

(引用:plus.timescar.jp)

タイムズはトヨタと連携し、都心東部を中心に小型電気自動車「COMS」「i-ROAD」を展開しており、ステーションを随時拡充してきています。
これは国土交通省の後押しが大きく、国もなんとかしようとしているのが分かるもので、2014年9月の「車庫法」の解釈の変更が大きいのです。
各車がITで管理できていることを前提に、必ずしも保管場所に戻す必要はないと明示したのです。

いわゆるワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングの実施に係る取り扱いについて

カーシェア「乗り捨て」、撤退相次ぐワケ – 規制緩和から1年、実現に行政裁量の壁 –

狭い日本では路上駐車が問題となります。「乗り捨て」という表現は「ワンウェイ方式」に改めたいと思います。しかるべき駐車場に保管されるのであれば、問題はないです。

しかしワンウェイ方式は、カーシェアリング事業者にも重くのしかかります。
小型の電気自動車を使用するとはいえ、ワンウェイ方式のためには専用区画を2-3倍は多く設けなければならないのです。

改めて、日本の駐車場事情の根の深さを考えさせられます。
決してカーシェアリング事業者だけに重荷がかからないよう、行政にも配慮頂きたいところであります。

一方で「COMS」「i-ROAD」がまだ1名乗車仕様であることと、ステーション数増加にまだまだ成長の余地があると考えられます。今後の成長には目を見張るものがあります。

(3/3) 次へ 『2名乗車できる「i-ROAD」による渋谷区/世田谷区での実証実験とは』)

日本にも新しいモビリティが誕生しようとしている

【公式サイト】OPEN ROAD PROJECT(TOYOTA未来プロジェクト室)

(引用:openroad-project.com)

国土交通省による超小型モビリティ認定制度を活用し、2人乗りi-ROADが2015年11月から東京都渋谷区で走りだしました。2016年4月からは世田谷区も走行しはじめるなど、順次エリアが広がっています。

「超小型モビリティ認定制度」とは、国土交通省による、自動車よりもコンパクトな車両が公道で走れるよう認定する制度のことです。トヨタ自動車はこの制度を活用し、i-ROADの実証実験を東京都渋谷区・世田谷区ではじめています。制度の適用にあたり、車幅灯の見直しや、車両接近通報の装備など、1人乗りi-ROADの一部を改良。「自由な移動」の実現に向けて、大きな一歩を踏み出しました。

(引用:OPEN ROAD PROJECT)

なんといっても目玉は、実証実験中のi-ROADは「2名乗車仕様」であるということです。

試乗パイロットになるには


東京都内に在住しており、普通自動車免許を持っていれば応募が可能です。

試乗パイロットに応募し選ばれれば、1か月間i-ROADを貸し出してもらうことができます。
利用シーンはさまざまですが、子育て中のママやパパが、子供を幼稚園に送った足でそのまま会社に行ける、などが想定できます。

もはやバイクだクルマだと言っていられない、新しいモビリティが誕生しようとしています。

今後の日本の超小型モビリティの未来


話は戻り、ダイムラーAGのカーシェアリング「car2go」が、今のサービス形態のまま日本に上陸することは低いことは分かりました。

しかし、それで日本はあぐらを掻いていられるでしょうか。
世界規模では、都市内ミニカーによるカーシェアリングは、すでにダイムラーAGに水を開けられており、日本は負けていると言っていいでしょう。

ダイムラーAGが日本に上陸できないのは、日本の法整備に対して自社サービスが合致しないためでした。

土地も狭い、しかし路上駐車もさせられない。ですが日本人は「知恵」を絞って、狭い土地を活かして来ました。

日本発のトヨタ製小型電気自動車「COMS」「i-ROAD」は、どう日本に、世界に立ち向かえるのでしょうか。

トヨタ、タイムズ、行政、警察庁の今後に期待したいと思います。

カレコ・カーシェアリングクラブ