実は、虎視眈々と駐車場数を増やしているカーシェア会社がある
「駐車場を制する者が、カーシェアを制す」。これは今日のタイムズカーシェアの実績が示してきた、定石です。
実はその定石を、虎視眈々と踏襲しているカーシェア会社があります。
それは、泣く子も黙る「三井不動産リアルティ株式会社」。またの名をカレコと人は呼びます。
2017年4月より、三井不動産リアルティ株式会社へ吸収合併となったカレコは、それによって資本金が1億円から一気に200億円へと、200倍に増加。
しかし実はその吸収合併以前から、三井不動産リアルティ配下の「三井のリパーク」の駐車場数は、その拡大の一途を辿っているのです。
そのグラフがこちら。
見事なまでに伸び率が上昇している近似曲線を描いています。
しかもこの最終データは2016年3月末のもので、その3か月後の2016年6月末には駐車場数20万を突破していると発表されています。
2017年5月現在、実はすでに駐車場数22万に近い伸びを示しているかもしれません。
一方、タイムズのグラフがこちら。
こちらは伸び率が鈍化してきている近似曲線を描いています。
パーク24は近年、海外への駐車場ビジネスの展開にリソースを割き始めている点から見ても、良くも悪くも今後国内市場に対しては、ある程度のブレーキがかかると推察されます。
近似曲線を2020年まで伸ばすとどうなるか
この近似曲線を、2020年まで伸ばしてみるとどうなるか。
以下が、カレコとタイムズの駐車場の2020年予測値です。
タイムズが駐車場70万強、三井のリパークが駐車場30万弱。
2020年には、タイムズの一強を崩すまでには行かずとも、株主あたりからは「本当に対策を取らなくていいのか?」といった意見も出てきそうです。
三井のリパークが躍進すると、なぜカレコが躍進するのか
答えはすでにタイムズが示してくれています。
そう、冒頭の「駐車場を制する者が、カーシェアを制す」、です。
違法駐車の法規制が厳しい日本では、時間貸し駐車場を制する者がカーシェア業界を制するのは、先人のタイムズが示してくれた自明の理となっています。
三井のリパークが、全国46都道府県(*2017年5月現在)に展開済であることを考えると、すでに「地盤」はできているわけです。
そして三井不動産ブランドという「看板」も申し分ない。
加えて、資本金1億円企業から200億円企業への躍進(正確には吸収合併ですが)。「鞄」も十分そうです。
この3拍子揃って、カレコがなぜ躍進しないと言えるでしょうか。
逆にこの3拍子揃ってしても、カレコが躍進しなかったら、相当カレコは能無しかもしれません(笑)。
カレコに死角はないのか
さて、カレコには死角がないのか。いえいえ、死角だらけです。特に「システム」です。
カレコは、なぜかタイムズのように「24時間365日稼働」のシステムが作れない。
システムの安定度やノーメンテナンス時間で言ったら、タイムズの圧勝ですよね。
カレコのシステムメンテナンスと来たら、「●月●日、夜21時から朝6時までの間、クルマの貸出・返却が一切できなくなります」とかなんとか。
えええ…、ロードバランサーでメンテナンスサーバだけ切り離して、あとでDBサーバ同士でレプリケートすればいいだけでしょ…とか思うんですけど。
システム発注会社を間違えたとしか思えないような、システムメンテナンス性の悪さ。
これじゃあいつまで経ってもタイムズカーシェアの堅牢なシステムには敵いませんよと、思います。
まあそれはさておき、虎視眈々と駐車場数を増やしている三井のリパークとカレコの社内コラボが順調に加速していけば、タイムズを純粋な1強とは呼ばせない存在になり得るかもしれません。